
3年前に中古屋でビデオカメラを買った。
それから何本かドラマ作品を撮っているうちに、自分がしていることが、あまりに不自由で、 しょせん「ごっこ」遊びに過ぎないように感じられた。
なぜSONYのスタミナハンディカムのテレビCMは、子供の運動会を撮影するパパなのだろう?
一方で、ドキュメンタリーというジャンルがある。ではこの映画はドキュメンタリーなのか? あるいは、役者の演技がうまい、とはどういうことだろう?
日常生活の中で、誰かの言動に対して「演技がうまい」と言うのはどこかおかしい。
では、舞台の上の下手な演技と、日常の中のぎこちない言動とは?
私はビデオカメラをまわす。
カメラの前でこれまでと同じ日常が続けられ、それはやがて融解し、ドラマに混入してくる。
ドラマは日常に侵されて、それでもドラマであることを止めない。
ビデオカメラは、録画ボタンを押した瞬間から、一切の判断を停止して、眼前の世界を記録し 続ける。ただ「素材」としか言いようのないもの。嘘でも本当でもなく。
この映画はその境界上にあろうとした。